仏様の指

足利市教育委員会教育長 岩田 昭 (2011年度版応援メッセージ)

 今年は、明治で言うと144年、大正では100年、そして、昭和では86年にあたります。昨年は、竜馬が大変話題となった年でしたが、近代日本の夜明けから、今だ144年しか経っていないと考えると、世の中の勤きは本当に激しく大きなものであると改めて驚かされます。

 もちろん、教育においても、時代とともに大きく変わってきたものもあるでしょう。しかし、一方では、時代を超えて受け継がれてきたいわゆる教育の本質というものもあるに違いありません。

 ここに、大村はま著『教えるということ』にある「仏様の指」の話を紹介します。

 「仏様がある時、道ばたに立っていらっしゃると、一人の男が荷物をいっぱい積んだ車を引いて通りかかった。そこはたいへんなぬかるみであった。車は、そのぬかるみにはまってしまって、男は懸命に引くけれども、車は動こうともしない。男は汗びっしょりになって苦しんでいる。いつまでたっても、どうしても車は抜けない。その時、仏様は、しばらく男のようすを見ていらっしゃいましたが、ちょっと指でその車におふれになった。その瞬間、車はすっとぬかるみから抜けて、からからと男は引いていってしまった。……男は、み仏の指の力にあずかったことを永遠に知らない。自分か努力して、ついに引き得たという自信と喜びで、その車を引いていったのだ。」

 私たちは、子どもにとって仏様の指のような存在でありたいものです。自分の努力で何事かを成し遂げたという成就感ほど、人を力強<前進させるものかおるでしょうか。

 しかし、こうありたいと願っていても、なかなか思うようにはいかない時もあるものです。そんな時は、この『あしかがいっしょに子育てガイド』を、あわてず、じっくりご覧ください。きっと適切なヒントが見つかり、また、そっと子どもの背中を押すことができるでしょう。

2011年4月