子どもとかかわる時間を大切に

足利市教育委員会教育長 岩田 昭 (2010年度版応援メッセージ)

 「あしかが子育て支援ネット」のボランティア「がってん隊」の皆様には、大変お世話になりました。学校で支援を必要とする児童に付き添っていただきました。その支援を受けた児童の青少年作文の中に「どんなに暑い日でも、風が強くて砂ぼこりの中でもいやな顔一つせずにずっとそこに立って、見守ってくれました。あ一あ、と言って砂まみれのぼくのズボンをはらってくれたその行為がなぜか、ただうれしくてしかたがありませんでした」とありました。まさに笑顔でズボンのはこりをはらった10秒で子どもの心が満たされた瞬間です。

 忙しい時でも子どもが寄ってきたらまず抱っこする「抱きしめる10秒」
 早く!と、子どもを急がせる前に「待ってあげる10秒」
 子どもを叱る前にひと呼吸おいて「冷静になる10秒」

 この「10秒の愛」は、兵庫県西宮市在住の教育サポーターの先生が提唱されたものです。以西小学校PTA(鳥取県)の活動記録のなかに載っていた実践です。
 たかが10秒、されど10秒
ささやかな優しさを繰り返し積み重ねていくことで、大切にされた思いが貯金され、子どもたちの心が、笑顔で元気になるのでしょう。この犬切にされた経験が自尊感情を育み、親子の絆が深まり、安心した生活が送れるのだと思います。

 これは、教師と子どもとの関係にも当てはまります。
教師がこのことを意識して、子どもだちと接していると、きっと子どもとのかかわリ方も変わり、優しい言葉、あたたかい言葉かけができるでしょう。
 なぜ、そんなことするのだろう。
 なぜ、そんなこと言うのだろう。
その10秒で、子どもの背景にあるものを感じとれる教師になれると、思います。

 子どもを取り巻く私たち、大人の気持ちの持ち方次第で、子どもの笑顔を見ることができるのです。親も教師も子どもとしっかりと向き合い、白分から子どもにかかわっていくことが肝要です。

 そして、もしその時、悩んでしまったら、この「あしかがいっしょに子育てガイド」があります。あわてず、じっくり、このガイドブックを読むと、きっと解決の糸口が見つかり、前向きな気持ちで子どもとまた、向き合えるでしょう。