平成20年度子育てサポーターリーダー養成講座の中で、子どもの思春期について話し合いをしました。参加者は、母親、臨床心理士、スクールカウンセラーです。

 その中の一部分を掲載します。

思春期っていつごろから?
素朴な疑問です。うちはまだ小学校3年生です。寛容に育てながら躾もしなければならないと思っています。でも、思春期になると、恐らくそれを押しつけと感じる時がくると思うのです。それはいつごろから始まるのかと少し不安に感じています。
押しつけられたと感じる時期が思春期ではないでしょうか。そこで親から離れる。今振り返るとそう思いますね。思春期に進路を決めなくてはいけない。そのときに自分が育った環境の中からの選択になるわけです。それ以外はないので、どういう風に親が提示してあげるかが問題です。ですが、親も幾つもの手があるわけではないですから暗中模索です。娘は今、社会人3年目です。自分にあっている仕事を選んだと思っているようです。でも、もしかしたらあと5年くらいして、やっぱり違ったと思うかもしれません。その時に、親の価値観を押し付けられたと言うかもしれませんね。

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親のつもりと子の受け取り方が違う?
26才になる娘に、「親に押しつけられた価値観を打ち破らなければならなかった。それは大きなカルテャーショックのようなものだった」と最近言われました。私はガーンとしました。自分はかなり寛容な親だと思っていましたから、実は子どものほうはそう受け止めていなかったと知って驚きました。親から価値観を押しつけられたと言われ非常にショックを受けました。子どもにとってみれば親はそれくらい大きな威圧的な存在だったんだろうと改めて感じました。
うちの場合は17歳で思春期まっただ中、意外と生真面目な方なんです。その子が、「親が決めた親の枠から出られない、これじゃなんにもできない。私の青春一体どうしてくれるんだ。」と言うんです。私は子どもにそんなに小さな枠をつくったつもりはないんです。結構良い意昧の放任主義という感じだと自分では思っていたんです。でも本人にとってはやっぱり受け止め方が違うんですね。親の枠から出られないというところを泣いて訴えていました。その時は聞くだけしかできなかったんですが、今、一生懸命に自分白身でそれを乗り越えようと頑張ってるみたいです。

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子育てをやり直したいと思った!
うちは転勤家族です。わりと客観的に見て育てていたと思っていました。でも、やはり親と子の立場はまるっきリ違いますね。「押しつけられた感じ」「親に遠慮があって、親に悪いなと思うと自分の気持ちを言えなかった。」「態度にも出せなかった。」と言われた時に、私はこんなに寛大に子どもたちを育てたつもりだったにも関わらず、子どもっていうのは、そういう思いを持つんだなと思いましたね。今更ながら、難しいなと感じました。
上の娘が高-の時に感じたことです。自分のそれまでの子育ての結果が子どもを通して見えたんです。その時は、「あ~もう取り返しがつかいない」と思いました。もう私の意志でなく子どもの意志で私がこれまで入れてきたものを基にしていっちゃうんだと思うとすごく落胆した覚えがあります。もうどうにもならない、私の今までの育て方が間違っていた。取り返しがつかない。その時、娘にとても申し訳ない感じがしました。自分の子育てに後悔しました。やり直しをしたいと痛切に感じました。みなさんは、そんな風に思ったことはありませんか。

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思春期の不安
高校生の子どものクラスメートの母親から、「自分の子どもが不登校なので、周りの子たちになんとかしてほしい。」という電話を受けたことがあります。子どもは、自分たちではどうにもならないと言いましたが、その母親は周りがなんとかしてくれればなんとかなるというんです。不登校の陰に精神疾患がある場合があると聞きますがどうなのでしようね。
もし自分がその立場になったらどうしょうと思いますね。最近はメンタルクリニックがたくさんできていますけど、一般の私たちって、カウンセリングにしても受診にしても、どこの先生がいいのかわからないですよね。
子どちたちが生きる環境も私たちの頃とすごく変わっていますよね。事件も多いですし、摂食障がいなども多いようですしね。子ども自身は勿論ですけど、子育ては大変ですね。

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自分自身の思春期は?
自分自身のことを考えると、母が結構口うるさかったです。嫁という立場の鬱積したものがあったみたいですから、気持ちもわからなくはなかったのですが、あまりに口うるさいので、母の話は右から左に抜けていきました。
両親は、子どもの面倒をみる余裕は、時間的にも金銭的にもなかったようです。アドバイスは、あまり受けたことがなかったです。なんでも自分で決めていったように覚えています。特に親を乗り越えたということもなかったですね。
うちは子どもが4人います。最初の子は一生懸命育てる つもりで気負ってしまったみたいで、いつの間にか母みたいに口うるさくなっていたんです。娘が高校生になったときに、「自分のしたいようにする」と言われちゃったんです。でもこの一言で、ああ、そうだったと気づきましたね。
自分の体験です。高校2年の時、不登校気味になったことがありました。周囲と合わない感じや進学のこともあってさばり気味になったんです。でも、母はなにも言いませんでしたね。そのとき親がなにも言わないでいてくれたことが有難かったですね。今でも感謝しています。忘れられないことです。
本当に、世の中が生きづらくなっていると感じます。お母さん自身も悩んでいるし、子どもも悩んでいるみたいです。すくすく育てるというよりも、ここが心配ここが心配と常に心配されながら子どもが生きているような状況が、もしかしたらあるんじやないかなと感じています。
子どもの成長は楽しみですし、結果を早くみたいですよね。でも、自分で子どもを育ってみて思うことですが、もうすこし大らかに育てられたら良かったなと思いますね。それをするためには、待つことが必要かなと思います。わたしたち親は、子たちが育ってくるのを待つ力が落ちてきているのかもしれませんね。それと待つ力を支える周囲の力も落ちていると感じます。
私たち親だって、手探り状態の子育てですから、思うようにいかないことは仕方ないですよね。厳しい親に育てられて、親の枠からはみ出すと自分が軽蔑されるんじやないかと、いい子いい子で生きてきた自分が今子育てをしているんですからね。親の私自身がまだ、なんだか思春期をうまく乗り越えていないような気が今もしていますね。そんな中で頑張って子育てしているんですから、自分を褒めてやりたいですね。

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